2022年1月11日
【2022年派遣法改正】派遣会社が抑えるべきポイントと必要な対応について
働き方の多様化に伴い、労働に係る法律はここ数年で大きく改正されてきました。
2021年の1月・4月の派遣法改正がまだ記憶に新しいですが、2022年はどうでしょうか。
結論からいうと、2022年は派遣法の改正はないものの、派遣労働者にも大きく関わる法改正があります。
人材派遣会社・派遣先企業も法改正に合わせた対応が必要になってくるでしょう。
今回は2022年1月と4月に改正される、労働者に係る法改正の内容や抑えるべきポイントをまとめました。
2021年の派遣法改正についてチェックしたい方はこちらの記事をご覧ください。
令和3年派遣法改正の変更内容と派遣会社・派遣先企業が対応すべきこと
2022年の主な労働に係る法改正の内容
2022年の1月・4月に施行される法改正を以下にまとめました。
<2022年1月>
・雇用保険法の改正
<2022年4月>
・パワハラ防止措置の義務付け
・育児介護休業法
・年金制度改正法
・女性活躍推進法
それぞれ内容を確認し、社内に周知と現場のアップデートをしていきましょう。
雇用保険法の改正 2022年1月施行
2022年1月1日より雇用保険法が改正し、65歳以上を対象に「マルチジョブホルダー制度」が新設されました。
2つの事業所をかけもちで働いてる高齢者向けの制度です。
改正前の雇用保険制度では、主な勤務先(1つの勤務先)での労働時間が20時間以上かつ31日以上の雇用見込みがある場合にのみ適用されてきました。
しかし改正後は、2つの事業所の勤務時間を合算して20時間以上であれば、雇用保険に加入できることになったのです。
適用要件は次のとおり。
・複数の事業所に雇用される65歳以上の労働者
・2つの事業者の合計の所定勤務時間が1週間20時間以上
・2つの事業所でそれぞれ31日以上の雇用見込みがあること
抑えておくべきポイント
この法改正で抑えておくべきポイントは、雇用保険の加入は労働者本人からの申告ベースという点です。
派遣会社や派遣先企業から案内する必要はありませんが、本人から希望が合った場合は必要な証明書を作成するなど、速やかな対応が必要です。
また雇用保険が適用されてからは、雇用保険料の納付義務が発生することになります。
パワハラ防止措置の義務付け 2022年4月施行
2022年4月より「改正・労働施策総合推進法」が改正されます。
この制度は通称「パワハラ防止法」と言われており、その名のとおり職場におけるパワハラやセクハラを防止し、安定的な雇用を確保することを目的とした法律です。
2020年6月に先駆けて大企業向けに適用された法律ですが、2022年4月からは中小企業も対象となり、義務化されます。
正社員のみならず、パートやアルバイトそして派遣労働者も対象になるため、派遣会社と派遣先企業のそれぞれの対応が必要となります。
抑えておくべきポイント
パワハラ防止措置の義務化に伴い、対応すべき点を以下にまとめました。
・パワハラ対策の自社のルールや制度を整える
・リーフレットや研修で周知・啓発を行う
・社内に相談窓口や担当者を設ける
以上のような対応が派遣労働者を抱える派遣元・派遣先でも必要になってきます。しっかり抑えておきましょう。
育児介護休業法 2022年4月施行
育児介護休業法とは、育児や介護をしなければならない労働者が仕事を両立できるように支援するための法律。
特に4月からは、主に育児休業に焦点をあてた改正が行われます。
雇用環境の整備、個別の周知、意向確認の措置が義務化され、男女ともに育児を両立できるように産後パパ育休制度も創設されます。
抑えておくべきポイント
育児介護休業法は、派遣元・派遣先にも適用される法律です。
4月から次の対応が義務化されます。
・育児休業を取得しやすい雇用環境の整備
(育児休業や産後パパ育休に関する研修や相談窓口の設置など)
・妊娠、出産(本人または配偶者)の申し出をした労働者への個別の周知や意向確認
(制度・申し出先の周知や面談など)
派遣労働者が妊娠や出産の申し出をしたことで、解雇や減給をさせるなどの不当な扱いは禁止されています。
適切な対応をするために、派遣元と派遣先が連携体制を整えることが重要です。
年金制度改正法 2022年4月・10月施行
4月からの年金制度の改正により、年金受給開始時期を自由に決まられるようになります。
年金の受給は原則65歳からですが、改正後は60歳~75歳まで受給開始時期を選択できます。
健康寿命が延びたことで、シニアの働き方も大きく変わっている昨今。
これに伴い、年金の受け取り方も自由に選択できるように改正するというわけです。
また、在職中の年金受給についての見直し、個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入要件の緩和などが改正の内容に含まれています。
抑えておくべきポイント
年金制度改正法は、2022年4月から段階的に改正されることになっています。
そして2022年10月からは「被用者保険の適用拡大」が施工される予定です。
現在(2022年1月)、501人以上規模の企業に短期間労働者に対しての厚生年金保険加入が義務付けられています。
今回の改正では、2022年10月から101人以上規模の企業にも厚生年金保険の加入が義務化されるのです。
短期間労働の派遣スタッフもこれが適用されます。
従業員と企業が折半する厚生年金保険の対象者が拡大するとなると、当然ながら企業側の負担は増えます。
新規加入者が増えるとその手続きや業務も増えるため、事前に対象者を把握し、抑えておきたいポイントです。
女性活躍推進法 2022年4月施行
女性活躍推進法は、働きたい女性が個性や能力を発揮し、活躍ができる社会を目指す制度です。
2016年に301人以上の企業に対して適用されていた制度ですが、2022年4月より101人以上の企業も対象に。
また301人以上いる企業は努力義務だったところが義務化されます。
なお、2024年には101人以上規模の企業も義務化になるため、今から対応できるようにしておきましょう。
抑えておくべきポイント
2022年4月から301人以上規模の企業は義務化され、101人以上規模の企業は努力義務が課せられます。
企業側が抑えておくべきポイントは、主に以下の4点です。
- 社内の女性活躍状況を把握・分析 ※女性派遣労働者も含む
(女性採用比率・勤続年数など)
- 行動計画の策定、周知、公表
(女性のキャリアアップや管理職への希望など)
- 策定した行動計画を労働局に提出
- 情報公開
義務化されているにも関わらず届出がないと、労働局からの注意や勧告を受ける可能性もあるため、しっかり対応しておきたいところです。
まとめ
2022年の労働者に係る法改正についての解説でした。
働き方が多様化している近年、それに関わる法律も毎年改正されます。
法改正によって新たな制度が新設されると、それに伴う業務や書類のアップデートが必須です。
こういった変化に対応できるように、書類や情報のデジタル化をしていくことをおすすめします。
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また派遣法に準じた書類や機能のアップデートがされるため、毎年の法改正にも柔軟な対応が可能です。
企業側・従業員側の双方に変化をもたらす法改正。
これらの新しい法律したがって円滑な対応ができるように、デジタル化の準備を始めていきましょう。