2022年4月13日

36協定の内容と派遣元が気を付ける点とは?

「派遣労働者を残業させていいのかわからない」

「残業が45時間を超えそうな場合の対処法を知りたい」

「36協定において派遣会社が気をつけるべきことは?」

今回の記事では、こういったお悩み・疑問にお答えします。

労働基準法にはさまざまあり、時間外や休日労働においてもルールが定められています。

その中でも、今回は派遣会社が知っておくべき「36協定」に焦点を当ててご紹介します。

派遣会社が注意するべき点や申請方法についても解説していきますので、ぜひ最後までお付き合いください。

36(サブロク)協定とは

36(サブロク)協定は、使用者(企業側)と労働者間で結ばれる協定のことで、正式名を「時間外・休日労働に関する協定届」といいます。労働基準法36条に基づく協定であるため「36協定」と呼ばれています。

労働基準法によって定められている勤務時間は、1日8時間・週40時間です。これを超えた時間外労働(残業)が発生する場合は、必ず36協定を提出しなければなりません。逆に残業や休日出勤が一切なければ提出不要です。

36協定の提出なしで時間外労働・休日出勤をさせた場合は、労働基準法違反となるため、ほとんどの企業が36協定を提出しています。正規雇用(正社員)や非正規雇用に関わらず、すべての労働者と企業間で締結するべき協定です。

人材派遣における36協定

派遣労働者に時間外労働をしてもらうためには、同じく36協定の提出が必須です。ただし、人材派遣の場合は派遣先ではなく、派遣元と派遣労働者が協定を結びます。

つまり人材派遣においては、派遣先の36協定は適用されません。

残業や休日労働の指示や依頼は現場でおこないますが、派遣「元」が定めた36協定の範囲内のみとなります。

労働基準法で認められている残業時間は、月45時間・年間360時間。これはあくまで労働基準法の残業時間であるため、厳守するべきは派遣元で定められた時間です。

派遣会社では、35〜40時間で協定を結んでいるケースが多い傾向にあります。

派遣元が注意すべき点

人材派遣の場合は、派遣元の36協定が適用となります。協定違反にならないためにも、派遣元(派遣会社)は次の3点に注意しましょう。

36協定の時間を厳守する

派遣元の36協定の残業時間が35時間だった場合は、原則35時間以上の残業を派遣労働者にさせることはできません。

協定で定めた時間以上に労働させてしまった場合、主に派遣先に責任が問われることになります。管理や情報共有不足として、派遣元の責任も重大です。派遣先だけでなく、派遣元も労働時間の管理をし、36協定で定めた時間を厳守しましょう。

特別条項の届出

繁忙期や決算間近になると、定めた規定時間以上に残業時間が超過してしまうことも考えられます。こういった場合は「特別条項」の届出をすることで、合法的に定めた時間より多く働けます。

ただし、この特別条項にも時間制限が設けられています。特別条項の時間制限は、月100時間未満・年間720時間以内です。また2〜6ヶ月の平均残業時間が80時間を超えないことなども条件となります。

派遣元は、派遣先より残業時間の超過の依頼がきたら速やかに対応しましょう。さらに注意しておきたいのは、特別条項の提出・受理が完了するまでは、派遣労働者の超過の残業は認められないという点です。

特別条項が受理される前に、派遣労働者が残業時間を超過して勤務させた場合は労働基準法違反となってしまい、派遣元・派遣先ともに責任が問われる可能性があります。

協定違反のないように連携・情報共有する

人材派遣は、派遣元・派遣先・派遣労働者の3者がしっかり情報共有をおこなうことが重要です。

例えば、派遣労働者が自己判断で制限を超えて勤務し、協定に違反したとしても、責任の所在は使用者である派遣元や派遣先にあるとされています。協定違反のないよう、36協定はもちろん、就業規則や賃金控除協定なども周知しておきましょう。

派遣先は労働時間を適正に把握し、派遣元も累計労働時間を把握して、不正な長時間労働がないか確認することが大切です。

協定違反のないように、派遣元・派遣先の連携、派遣労働者も含めた情報共有をしっかりおこなう必要があります。

36協定届の提出期限や罰則について

未提出のままの残業は違反となり、罰則を受けなければなりません。36協定について知らなかった、提出を忘れていた、という方は早急に対応する必要があります。

提出期限や、罰則についても知っておきましょう。

36協定の提出日の目安

36協定の提出期限は、実は明確に定められていません。しかし就業規則などと一緒に、派遣労働者と締結することがほとんどです。

あとから提出することも可能ですが、受理されるまでに1〜9日かかるといわれています。受理されるまで残業や休日労働ができないため、早めに提出しておくべきでしょう。

また36協定の有効期限は1年です。毎年提出する必要があります。このことから1月・4月を起算日として提出する企業も多い傾向です。

協定違反した場合の罰則

36協定の届出をしないまま残業をさせてしまった場合は、罰則として、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が課せられます。

また、違法な長時間労働や過労死などが発覚した場合は、労働基準法違反の企業として公表されてしまうこともあります。

このような事態を防ぐためにも、残業や休日出勤が予想される場合は、必ず36協定を提出してください。

36協定の電子申請方法

36協定の提出方法を確認しておきたいところです。

36協定は、窓口や郵送による届出が主流でしたが、最近では電子申請が推奨されています。毎年提出しなければならないため、電子申請でおこなうのが得策です。

36協定の電子申請は、「e-Gov(イーガブ)」というホームページから提出できます。申請の流れは以下のとおりです。

  1. e-Govのアカウントを取得
  2. e-Govのアプリをインストール
  3. ログインしてマイページから申請する内容を入力
  4. 必要書類を添付して提出ボタンをクリック

大まかですが、上記の4ステップで提出が可能です。アカウントの取得がわからない、操作がわからないという方は、電子申請のサポートデスクもあります。ただちに電子申請の提出が難しい場合は、窓口や郵送で申請してもよいでしょう。

まとめ

人材派遣の場合、直接雇用よりも書類の管理や仕組みが複雑になりがちです。派遣元・派遣先・派遣労働者の3者の情報共有と、派遣元・派遣先の連携が欠かせません。

とはいえ、派遣元は多くの派遣スタッフとクライアント(派遣先)を抱えているため、情報共有や連携は難しいものです。

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情報共有・連携がおろそかになっていると、思わぬところで協定違反をしてしまう可能性もあります。派遣元である派遣会社が中心となってまとめる必要があるでしょう。

スムーズな情報共有・連携をおこなうためにも、人材派遣管理ソフトの導入を検討してみてはいかがでしょうか。