2023年4月18日
無期雇用派遣とは?有期雇用との違いやメリット・デメリット
派遣社員は雇用期間に制限があることが一般的ですが、「無期雇用派遣」という働き方があることをご存知でしょうか。ある一定の条件を満たせば、派遣社員は無期雇用に転換できるルールがあります。人材派遣会社は、派遣社員からのこの申し出に対して必ず応じなければなりません。
本記事では無期雇用派遣について、有期雇用との違いや事業者側からみたメリット・デメリットをご紹介します。
無期雇用派遣とは
雇用期間に定めがあり、不安定といわれる派遣雇用ですが、中には無期雇用派遣という働き方があります。無期雇用派遣とはその名の通り、雇用期間の制限がない雇用形態のことです。2013年に作られた制度で、派遣切りや雇い止めのリスクが少なく、長期的に安定して就労できることがメリットです。
雇用期間に制限がない正社員と同じように解釈できそうですが、両者が異なる点は、雇用主が違うことにあります。無期雇用派遣社員は、あくまで派遣会社の社員。正社員は、勤め先に直接雇用されている社員となります。
どちらも雇用期間に定めがない点は同じですが、無期雇用派遣は給与や手当、福利厚生などは、すべて派遣会社が定めた条件にならって支給されるのです。
有期雇用と無期雇用の違い
有期雇用とは、雇用期間が定められている雇用形態です。一般的に有期雇用の派遣社員の場合、雇用期間は最大で3年と定められています。派遣社員以外にも、契約社員やパート、アルバイトも有期雇用にあたります。
一方で無期雇用は、前述の通り雇用期間に定めがありません。そのため、派遣先の就業終了後は派遣会社との契約は継続され、次の就労先が決まるまでの待機期間も給与は支払われ続けます。有期雇用よりも長期で安定して働くことができるのです。
有期雇用から無期雇用派遣になれる「無期転換ルール」
派遣でも長期で安定して働きたい方には、有期雇用から無期雇用派遣社員になれる「無期転換ルール」があります。無期転換は、ある一定の条件を満たせば無期雇用派遣に切り替えることができる制度です。
ここではその条件や方法をご紹介します。
無期転換ルールの条件
無期転換の申込みができる条件は「有期労働契約が更新されて通算5年を超えた場合」です。具体的には、次のようなケースで無期転換の申込権が発生します。
- 契約期間が1年の場合:5回目の更新後の1年間
- 契約期間が3年の場合:1回目の更新後の3年間
画像引用元:無期転換ポータルサイト
無期転換する3つのケース
有期雇用から無期転換するケースには、次のような3つのケースがあります。
- 派遣会社の正社員になる
- 一定の条件付きである
- 雇用期間のみ変更する
無期雇用に転換する場合、転換後の就労規則を特別設けていない限り、現在の有期労働契約の内容が適応されることになります。例えば、有期雇用の間「週4勤務の7時間勤務」で労働時間を契約していた場合、正社員に転換後もその労働条件が同じになるのです。
ただし、個別合意を得て労働条件を変更することも可能です。転換後の就業規則をしっかり定める必要があります。
派遣会社によっては「一定の条件付き」で、勤務場所や勤務時間に条件を設けているケース、または給与や労働条件などはそのまま引き継ぎ、有期雇用から無期雇用に変更するケースなどがあります。
無期雇用派遣に転換するメリット
無期転換のメリットは、社員のモチベーションが上がったり、安定した長期的なキャリア形成ができたりするだけではありません。派遣会社(事業者)側にもさまざまなメリットがあります。
すでに業務経験のある優秀な人材を雇える
無期転換の条件として、「有期労働契約が通算5年を超える」という項目があるように、該当の社員はすでに業務経験がある人材です。未経験で未知数な人材を新たに雇うより、よっぽど優秀な人材であるといえるでしょう。
求人広告や新人教育の手間やコストが省ける
新たな人材を雇い入れるには、コストや手間がかかります。求人広告費はもちろん、採用に至るまで時間と手間がかかり、しかも優秀な人材を雇えるかも不確定です。さらに新人教育に時間と手間がかかるうえ、せっかく雇った人材がすぐに辞めてしまうなどのリスクも伴います。
一方で無期転換であれば、広告費や新人教育も不要であるため、多くのコストを省くことができるはずです。
社員のやる気アップにつながる
有期雇用で働いてた社員にとって、長期で安定して働けることは社員のやる気アップにつながります。安定的に働いてくれるのはもちろん、さらに能力を発揮して、会社に貢献してもらえる環境を提供できます。離職を防ぎ、継続して優秀な社員を雇えることは、両者にとってメリットです。
キャリアアップ助成金を受けられる
キャリアアップ助成金とは、有期雇用労働者を含む非正規雇用労働者を正社員化した際に受けられる助成金制度です。有期雇用労働者を正社員として雇用した場合、1人あたり21万3,750円〜57万円の助成金が受けられます。
キャリアアップ計画の作成や認定、正社員化後6ヵ月の賃金の支払いなどが条件にありますが、事業者にとってはぜひ活用したい制度です。
無期雇用派遣に転換するデメリット
無期転換は社員と事業者双方に多くのメリットがみられますが、一方で次のようなデメリットもあります。
給与や手当などの経費が増加する
無期転換して正社員となると、当然ながら支払う給与は高くなります。給与だけでなく、これまでなかった福利厚生や手当、賞与などもさらにかかるようになるでしょう。人件コストが増加するのは、派遣会社にとってデメリットともいえます。
無期雇用を一度雇うと解雇が難しい
有期雇用では、会社の経営状況や人員調整において、いわゆる雇い止めや派遣切りといったことも可能でした。しかし無期雇用となると「解雇」という形になり、厳しい規則が設けられるため判断が難しくなるでしょう。
無期転換の申し出を断ることができない
派遣会社側は社員から無期転換の申し出があった場合、断ることはできません。そのため人員が十分に足りている場合や、当該社員が能力不足だったとしても、無期雇用社員として雇用しなければなりません。その場合は、派遣会社側の負担が増し、逆に不利益となることもあります。
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無期転換には多くのメリットがありますが、デメリットもあります。無期転換の申し出が合った場合、派遣会社側は断ることができません。現在の会社の状況をふまえて備えておく必要があるでしょう。無期転換する際は、雇用形態を変更するにあたって、新たに就業規則を設けたりとスタッフ管理が煩雑になることが予想されます。
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