2024年11月7日
紙からデジタルへ 契約書電子化のメリットと導入のポイント
昨今の郵送費や業務コストの高騰が社会問題となっています。そういった背景もあり、企業は、より一層業務プロセスの効率化と迅速化を進めています。
効率化を図る一つとして、契約書や請求書、給与明細などの電子化があります。
人材派遣会社では契約書の作成・管理業務は必ず発生し、会社の成長に伴い、業務の煩雑化や作業ミスなども増えていきます。これらを解決する方法として電子化が注目されています。
紙での運用に比べて、フローが簡素化され、業務効率化だけでなく、コスト削減にもつながります。
インターネット技術やクラウドの普及により、様々な分野でデジタル化が進んでおり、情報の保存や共有が容易になっています。
この記事では、契約書の電子化がどのようなメリットがあるのか、注意点は何かなどについて詳しくまとめていきます。
契約書の電子化とは?
契約書の電子化は、従来の紙ベースの契約書をデジタル形式に変換し、電子的に作成、署名、保管、管理するプロセスのことを指します。
2021年1月の労働者派遣法改正に伴い、労働派遣契約書の電子化が解禁されました。これにより、派遣元企業、派遣先企業、派遣社員の間で交わされる全ての書類を電子的に作成・管理することが可能となりました。
契約書の作成から締結までのプロセスが効率化されることで、コスト削減も期待できます。
契約書を電子化するメリット
ビジネスのデジタル化が進む現代において、契約書の電子化は単なるトレンドではなく、業務効率の向上やコスト削減、セキュリティ強化を実現する重要な手段となっています。紙の契約書に依存する従来の方法から脱却し、電子契約書を導入することで、企業はより迅速かつ安全に契約手続きを行うことができます。
効率性の向上
契約書の電子化により、物理的な書類のやり取りが不要になり、契約手続きが迅速化が期待できます。紙の契約書を郵送する時間を削減し、即座に確認・署名・返送が可能です。リモートワークが普及する中で、場所にとらわれずに契約を結べる点は大きなメリットです。
コスト削減
紙、印刷、郵送、保管にかかるコストを削減できるだけでなく、物理的な保管スペースも不要となり、オフィスのスペースを有効活用できます。また、電子契約書は、クラウド上にバックアップが取られるため、自然災害や火災などの事故による書類の紛失リスクも軽減でき、これに伴う再作成コストも削減できます。
セキュリティ強化
電子化された契約書にはアクセス制限や暗号化が施されているため、紙の契約書よりもセキュリティが高く、情報漏洩のリスクが減ります。そのため、契約書の管理がより安全になります。
特定の部署や役職のみにアクセス権を与えることで、情報の流出を防ぐことができます。なお、送信時や保存時にデータを暗号化することで、通信の安全性も確保されます。
アクセスの容易さ
デジタル契約書はクラウド上に保存されるため、必要な時にいつでもどこでもアクセスが可能です。これにより、複数の関係者が同時に契約書を確認・編集できるため、業務の進行がスムーズになります。
また、デジタル化された契約書は検索機能で簡単に見つけることができ、物理的な書類を探す手間が省けます。アクセシビリティの向上により、契約書の管理が効率的になり、業務の迅速化につながります。
環境への配慮
紙の契約書を処分する際には、廃棄物としての管理が必要になりますが、電子契約はそのままデータとして保存できるため、廃棄物を出す必要がありません。ペーパーレス化により、紙の使用を減らし、環境への負荷を減らします。
電子化の法的有効性
電子署名とは、電子文書に付与される認証情報で、その文書が特定の人物によって作成・承認されたことを証明するものです。
日本では、2001年に施行された「電子署名及び認証業務に関する法律」(電子署名法)によって、電子署名の法的効力が明確に規定されています。この法律に基づき、適正に作成された電子署名は紙の署名と同等の法的効力を持つことが認められています。電子署名がなされた契約書は、従来の紙の契約書と同様に、電子契約も法的な効力を有します。
電子署名が法的に有効と認められるためには、以下の要件を満たす必要があります。
・署名者がその電子文書に対して署名を行ったことが明確であること。
・電子文書が署名された後に改ざんされていないこと。
・署名者の本人確認ができること。
なお、電子契約書は、その国や地域の法律に準拠していなければなりません。各地域の特定の規制や要件を満たすことが求められます。
電子化の導入の際の注意点
契約書の電子化を導入する際には、法的要件の確認やセキュリティ対策、システムの操作性など、さまざまな点に注意が必要です。これらの要素を適切に管理することで、効果的かつ安全な電子契約運用が実現できます。
電子帳簿保存法への対応
電子帳簿保存法では、2024年1月1日以降、電子取引のデータ保存が完全義務化されています。電子化契約書は、電子帳簿保存法に従って保存する必要があります。法的要件を満たしていれば、電子ファイルとしてそのまま保管することが可能です。
なお、電子取引で授受した契約書の電子データを紙に出力して保存することは認められません。
取引先の理解が必要
電子契約書を使う場合、事前に契約の相手方(取引先)の理解と同意が必要になります。取引先が紙での契約を主としている場合、自社との契約だけ電子契約にすることには難色を示すこともあります。その際は、電子化することでのメリットやリスクケアについて丁寧に説明することで理解を得やすくなります。
既存の業務フローの調整
紙ベースの契約書管理から電子契約書への移行には、契約書の作成、署名、保管、閲覧に至るまでの全プロセスを見直す必要があります。従来の紙ベースの運用に慣れている社員は最初は戸惑うこともあるかもしれません。そのために電子契約書に対応した新しいワークフローを組み立て、トレーニングを行うことで、定着させていくことが求められます。
法律に準拠した電子契約サービスを選ぶ
電子契約サービスを選ぶ際は、法的に有効で信頼性の高いサービスを選ぶことが重要です。
次のような点に注意しながら選びましょう。
●費用対効果があるか
郵送費の削減、保管・閲覧の効率化、契約締結までのリードタイム短縮など、得られるメリットと費用のバランスを考慮しましょう。
●契約書の法的効力は担保されているか
電子署名法第2、3条の定義や要件を満たす電子契約であれば、法的な効力を持ちます。
●セキュリティは問題ないか
暗号化方式の通信やセキュリティ性の高いサーバーを利用しているかなどが検討事項になります。
おすすめのサービスは電子契約サービス「freeeサイン」です。
契約書の作成から締結、保管・管理までのフローを電子化で簡略化でき、すべてクラウド上で行うことができます。
freeeサインは世界で信頼されている堅牢性の高いサーバーを利用しています。また、全ての通信はSSL/TLSによって暗号化され、なりすましや傍受のリスクに対応しています。freeeサイン上の契約書データも共通鍵暗号を用いて全て暗号化されており、万が一情報が漏洩しても第三者が復号できない仕組みになっています。
freeeサインと連携したメッキ―派遣管理で電子化
2021年1月1日の法改正により派遣契約書の電子化が解禁されたことで、電子化・ペーパーレス化に取り組んでいる人材派遣会社も増えています。
人材派遣管理システムのメッキ―派遣管理では、使いやすさやセキュリティ面でも安心な電子契約サービスfreeeサインとAPI連携できるようになりました。
APIとは、アプリケーション・システムにおいて機能やデータを連携させることで、機能を拡充させる技術です。
「メッキー派遣管理」で、労働者派遣基本契約書、労働者派遣個別契約書、就業条件明示書などの作成を行い、電子契約サービス「freeeサイン」で、電子署名・電子サインを行います。
また、電子帳簿保存法に対応しており、締結した契約書もタイムスタンプで保管・管理できます。API連携により、業務効率化とコスト削減を向上させることができます。
「メッキー派遣管理」は、APIサービスの提供があれば、他のアプリケーションについてもAPI連携することができますので、ぜひご相談ください。
まとめ
契約書の電子化は、企業の業務効率を大幅に向上させるだけでなく、コスト削減やセキュリティ強化、環境保護といった多岐にわたるメリットがあり、技術の進化とともに今後ますます重要な役割を果たすことが期待されます。
電子化を進めるうえで、既存業務フローの変更や、取引先への理解を得るなど、解決しなければならない課題はあります。
将来的にはデジタル契約がスタンダードとなっていくことも予想されるため、今のうちから電子化の導入をご検討されてみてはいかがでしょうか。