2025年3月7日

2025年に予定されている主な人事関連の法改正について解説



2025年は、人事関連の法改正が相次ぎ、企業の労務管理に大きな影響を与える年となります。

新しい法律や改正が施行されることで、労働者の権利が強化され、企業のコンプライアンスが一層求められるようになります。

本コラムでは、2025年に予定されている主な人事関連の法改正について解説します。

 

 

雇用保険法の改正

 

2025年4月1日から実施される雇用保険法の改正は、労働者の生活や企業の経営に大きな影響を及ぼす重要な変更です。


この改正により、育児休業給付、就業促進手当、介護休暇などの制度が見直されます。その結果、労働者の働き方や生活環境が大きく変わることが期待されています。

 

雇用保険の適用拡大


これまで雇用保険の適用を受けていなかった週10時間以上20時間未満の短時間労働者も、適用対象となります。

この改正は、現代の多様な働き方や収入維持の方法に対応するために行われます。目的は、雇用保険の保障範囲を広げ、多くのパートタイム労働者や短時間労働者が雇用保険の保障を受けられるようにすることです。



教育訓練支援・リスキリング支援の充実

 

教育訓練給付金の給付率の引き上げ

教育訓練給付金の給付率が70%から80%に引き上げられます。
また、特定一般教育訓練給付金の給付率も40%から50%に引き上げられます。

 

教育訓練休暇給付金の創設


教育訓練期間中の生活費を支援するための給付金が新たに設けられます。

 

自己都合退職者の失業手当給付制限の緩和


自己都合で退職した人が、自分で職業に関する教育や訓練を受けた場合、給付制限を受けることなく雇用保険の基本手当を受け取ることができます。


育児休業給付の見直し


育児休業給付の保険料率が0.4%から0.5%に引き上げられます。また、保険財政の状況に応じて保険料率を引き下げることができる柔軟な仕組みが導入されます。


これにより、育児休業給付の財政基盤が強化され、男性の育児休業取得増加にも対応できるようになります。

就業促進手当の見直し


2025年4月1日から、短期的な職に就いた場合の手当である「就業手当」が廃止されます。

また、就業促進定着手当の給付上限が、支給残日数の40%から20%に引き下げられます。
再就職後の賃金が低下した場合の補填額が減少します。

再就職手当については、今回の改正では変更がありません。

この改正は短期的な職に就いた場合の手当を廃止することで、より安定した職業への再就職を促進することが目的とされています。


育児・介護休業法 改正



2025年4月1日から施行される育児・介護休業法の改正は、働く親や介護を担う家庭にとって大きな変革をもたらすものです。


この改正により、育児や介護と仕事の両立がより一層しやすくなることが期待されています。この記事では、改正ポイントについて詳しく解説し、その意義と影響を探ります。

 

子の看護休暇の見直し



現行法では「小学校就学前の子」が対象でしたが、改正後は「9歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子」まで拡大されます。その他、取得事由の追加などが変更点として挙げられます。

 

 

施行前

施行後

対象となる子の範囲

小学校就学の始期に達するまで

小学校3年生修了まで

取得事由

①病気・けが 
②予防接種・健康診断
①病気・けが 
②予防接種・健康診断 
③感染症に伴う学級閉鎖等 
④入園(入学)式、卒園式

除外規定の廃止

除外できる労働者
①週の所定労働日数が2日以下 
②継続雇用期間6か月未満

除外できる労働者
①週の所定労働日数が2日以下
※②を撤廃

名称変更

子の看護休暇

子の看護休暇



育児休業取得状況の公表義務の拡大


これまで「常時雇用する労働者が1,000人を超える企業」に限られていた公表義務が、「常時雇用する労働者が300人を超える企業」にも拡大されます。

 

施行前

施行後

従業員数1,000人超の企業

従業員数300人超の企業



介護休暇を取得できる労働者の要件緩和


改正前は、介護休暇を取得するためには継続雇用期間が6か月以上であることが要件でしたが、改正後はこの要件が撤廃されます。これにより、採用直後から介護休暇を取得できるようになります。

施行前

施行後

除外できる労働者
①週の所定労働日数が2日以下 
②継続雇用期間6カ月未満
除外できる労働者 
①週の所定労働日数が2日以下
※②を撤廃



介護離職防止のための雇用環境整備義務


事業主は、介護を必要とする従業員が働き続けられるようにするため、以下①~④のいずれかの 措置を講じなければなりません。

 

① 介護休業・介護両立支援制度等に関する研修の実施 

② 介護休業・介護両立支援制度等に関する相談体制の整備(相談窓口設置)

③ 自社の労働者の介護休業取得・介護両立支援制度等の利用の事例の収集・提供 

④ 自社の労働者へ介護休業・介護両立支援制度等の利用促進に関する方針の周知


今回の育児・介護休業法の改正は、現代社会におけるワーク・ライフ・バランスを実現するための重要な一歩です。

この改正により、新たな制度が導入され、既存の制度も見直されました。その結果、育児や介護を行う従業員が安心して働き続けることができる環境が整備されました。


今後も、より多くの企業がこの改正を踏まえた取り組みを進め、働く親や介護者が負担なく活躍できる社会を目指すことが求められます。


労働安全衛生関係の手続きの電子申請義務化

 

2025年1月1日から始まる労働安全衛生関係の手続きの電子申請義務化は、企業の業務を大きく効率化する重要な変更です。

この改正により、紙ベースの手続きが大幅に簡略化され、労働者の安全と健康に関する報告や届け出がより迅速かつ確実に行えるようになります。

対象手続きは以下の通りです。

 

・労働者死傷病報告

・総括安全衛生管理者、安全管理者、衛生管理者、産業医の選任報告

・定期健康診断結果報告

・心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告

・有害な業務に係る歯科健康診断結果報告

・有機溶剤等健康診断結果報告

・じん肺健康管理実施状況報告

 

電子申請のメリッ


・労働基準監督署への訪問や郵送の手間が省ける
・時間や場所にとらわれずに手続きが可能
・スマートフォンやパソコンから手続きが完了できる



電子申請において、電子署名や電子証明書の添付は不要です。


障害者雇用促進法の改正



2025年4月1日から施行される障害者雇用促進法の改正は、障害者の就業機会の拡大と職場環境の改善を目指した変更です。


この改正により、障害者の雇用率や雇用支援策が強化され、障害者がより働きやすい環境が整備されることが期待されています。


法定雇用率の引き上げ



法定雇用率は段階的に引き上げられます。

具体的には、2024年4月から2.5%、2026年7月から2.7%に引き上げられます。

 

また、法定雇用率の引き上げに伴い、障害者を雇用しなければならない対象企業の範囲も拡大されます。2024年4月以降は常時雇用する労働者が40人以上、2026年4月以降は37.5人以上の企業が対象となります。

詳しくはこちらをご参照ください。

障害者雇用調整金・報奨金の支給方法の見直し

 

支給対象人数の調整


障害者雇用調整金について、支給対象人数が10人を超える場合、超過人数分の支給額が23,000円(本来の額から6,000円減額)に調整されます。

報奨金について、支給対象人数が35人を超える場合、超過人数分の支給額が16,000円(本来の額から5,000円減額)に調整されます。

支給方法の変更


調整金や報奨金の支給方法が見直され、支給対象人数に応じた調整が行われるようになります

障害者雇用助成金の拡充


雇入れやその雇用継続に関する相談支援、加齢に伴う課題に対応する助成金が新設されます。



障害者雇用相談援助助成金
中小企業等に対して、障害者の雇用管理に関する相談援助を行う事業に対する助成金。

中高年齢等障害者職場適応助成金
加齢により職場への適応が困難となった障害者の雇用継続を支援するための助成金。

 

既存の障害者雇用関係の助成金も拡充されます。

 

障害者介助等助成金
障害者の雇用管理のために必要な専門職の配置や委嘱、職業能力の開発及び向上のための助成金。

職場適応援助者助成金
ジョブコーチ助成金の助成単価や支給上限、利用回数の改善。

障害者作業施設設置等助成金
企業からの要望に応じて、個々の機器や設備等に対する助成額の改善。


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まとめ

 

2025年に施行される人事関連の法改正は、企業と労働者の双方にとって重要な変化をもたらします。育児・介護休業法の改正により、育児や介護と仕事の両立がしやすくなり、労働者のワーク・ライフ・バランスが向上することが期待されます。


また、雇用保険法の改正により、失業時の支援が強化され、再就職の促進が図られます。さらに、障害者雇用促進法の改正により、障害者の就業機会が拡大し、職場環境の改善が進むでしょう。

これらの法改正に対応するためには、企業は適切な準備と対応が求められます。労務管理の見直しや従業員への周知、必要な手続きの整備などを行うことで、法改正にスムーズに対応し、労働者が安心して働ける環境を整えることが重要です。


今後も、法改正の動向を注視し、柔軟に対応していくことが求められます。