2023年11月20日

派遣の労働条件通知書とは?2024年からの変更点や就業条件明示書との違い



人材派遣では人材を雇用する際に、派遣法に準じたさまざまな書類作成が必要となります。その1つが、労働条件通知書や就業条件明示書です。派遣先・派遣元・派遣社員の3者間での認識不一致のトラブルを防ぐためにも欠かせない書類といえるでしょう。

2024年4月には、労働条件明示のルールが変更になっています。今回は、労働条件通知書と就業条件明示書の違いや、2024年からの変更点などをふまえて、あらためて解説します。

労働条件通知書とは?



労働条件通知書とは、雇用主と労働者が契約を結ぶ際に交付される書類のことです。労働条件通知書には、記載しなければならない必要事項が定められています。労働者に対して明示することが原則であり、適切に明示されていなかったり、記載内容に不備があったりした場合、30万円以下のペナルティを受ける可能性があります。

労働条件通知書に明示する項目



労働条件通知書に明示しなければならない必要事項は、主に次の通りです。

  • 契約期間
  • 賃金
  • 業務内容
  • 就業場所
  • 休日、休暇
  • 退職

労働局にて、労働条件通知書の記入例を公開しています。

※必ずこの様式通りにする必要はありません。

就業条件明示書とは?



就業条件明示書とは、人材派遣会社が派遣社員と労働契約を締結する際に交付される書類のことです。派遣社員は多くの場合契約期間がありますが、派遣社員が契約期間後も雇用継続を希望し、両者が合意のうえで契約が更新されます。この更新のタイミングでも、就業条件明示書を新たに作成して交付する必要があります。

前述した労働条件通知書と同じく、適切な明示や記載内容に不備があった場合、ペナルティを受けることがあります。

就業条件明示書に明示する項目



就業条件明示書に明示しなければならない必要項目は、主に次の通りです。

  • 業務内容
  • 派遣期間
  • 派遣労働者の雇用安定のための規定
  • 苦情の申し出先や処理方法
  • 時間外労働や休日労働の規定
  • 福利厚生について
  • 紹介予定派遣について
  • 労働者派遣に関する派遣料金額

労働局にて、就業条件明示書の記入例を公開しています。

詳しくはこちらをご参考ください。

労働条件通知書と就業条件明示書の違い



労働条件通知書と就業条件明示書は、混同されることも多いですが似て非なるものです。労働条件通知書は労働基準法によって定められた、雇用主(企業)が労働者に対して交付する書類です。この「労働者」とは、派遣社員はもちろん正社員・パート・アルバイトなど全ての労働者を対象としています。

一方で就業条件明示書は、労働派遣法によって定められた、人材派遣会社が派遣社員に対して交付する書類です。

原則それぞれの書類を作成して交付する必要があります。しかし、この2つの書類は類似する記載内容も多いため、会社によって兼用して交付することもあります。(例:労働条件通知書(兼)就業明示書)

労働条件明示に際する2024年4月から追加される事項



2024年(令和6年)4月から、労働条件明示のルールが変更になるのをご存知でしょうか?新たに下記の4点の明示項目が追加される予定です。主に労働契約の締結時と更新時のタイミングで明示が必要となります。

明示のタイミング対象者新しく追加される明示事項
・労働契約の締結時・有期労働契約の更新時全ての労働者①就業場所・業務変更の範囲
有期労働者契約の締結時と更新時有期労働者②更新上限の有無と内容
無期転換申込権が発生する契約の更新時有期労働者③無期転換申込機会
上に同じ有期労働者④期転換後の労働条件



下記でそれぞれ詳しくご紹介します。

就業場所・業務の変更の範囲(すべての労働者向け)



すべての労働者に対する追加明示項目として、新たに「業務変更の範囲の明示」が追加となります。

雇入れ直後の就業場所と業務内容はもちろんですが、それに加えて「就業場所や業務の変更範囲」を示さなければなりません。将来的に変更しうる就業場所や業務を、事前に明らかにする必要があるということです。

この項目は、正社員や派遣社員など全ての雇用形態の労働者に明示します。

更新上限の有無と内容(有期雇用労働者向け)



更新上限の有無と内容は、有期契約労働者(契約社員や派遣労働者など)に対する追加事項です。有期労働契約の締結と、契約更新のタイミングごとに明示する必要があります。

具体的には、通算契約期間や更新回数の上限などの有無です。更新上限を新設したり、短縮する場合は実行する前にあらかじめ説明しなければなりません。

無期転換申込機会(有期雇用労働者向け)



「無期転換申込機会」の明示も、有期雇用労働者が対象の追加事項です。同じ雇用主との間で、通算5年を越える有期労働契約がいる場合、労働者の希望により無期労働契約に転換できます。

「無期転換申込権」が発生するタイミングで、無期転換を申し込める旨を明示する必要があります。

無期雇用派遣について詳しくはこちら>

無期転換後の労働条件(有期雇用労働者向け)



上記でふれた「無期転換申込機会」の明示とともに「無期転換後の労働条件」の明示も必要です。無期雇用に転換したあとの、労働条件を示さなければなりません。

具体的には、既存の正社員の待遇とのバランスを考慮した、業務内容・責任の程度・異動の有無などの条件です。同じく「無期転換申込権」が発生する更新のタイミングで明示します。

労働条件通知書・就業条件明示書の明示方法



労働条件通知書や就業条件明示書の明示方法は、書面の交付・FAX・メール・SNS(LINEなど)で可能です。原則は書面の交付ですが、労働者側が希望した場合に書面以外の明示方法が可能となります。

労働者側が希望している場合のみ適応となるため、勝手に電子化して通知することは違反となるため注意が必要です。

まとめ



労働条件通知書は、派遣社員を含めた正社員・契約社員・アルバイトなどあらゆる雇用形態の労働者を対象とした通知書です。一方で就業条件明示書は、派遣社員向けに派遣会社が交付する書類となります。両者は兼用できるため「労働条件通知書(兼)就業明示書」として交付する場合もあります。

2024年4月から労働条件明示のルールが変更になります。本記事で紹介した、追加される明示事項を必ず記載して交付するようにしましょう。

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