2022年9月14日

人材派遣業の許可要件は7つ!要件を満たせない場合にできること

人材派遣事業を始めるには、厚生労働省からの許可を得る必要があります。許可を下す判断基準として定められた項目は大きく分けて7つ。この要件にはさまざまな基準が設けられています。

この記事では人材派遣業を始めたい方、人材派遣業の開業を検討中の方向けに、許可申請における7つの要件を詳しく解説します。

必要書類や要件が満たせない場合にできる対策も紹介していきますので、ぜひ最後までお付き合いください。

人材派遣業の許可を得るための要件は7つ

▲厚生労働省の資料「労働者派遣事業の許可制について」を基に作成

労働者派遣法の法第7条において、許可要件(許可基準)が定められています。

許可要件をわかりやすくまとめると、上記画像で示した7つの項目に分けられます。

この7つの要件を満たさないと、人材派遣業はスタートできません。それぞれ詳しく内容を解説していきましょう。

資産や現預金に関する要件

許可基準としてまず「事業を的確に遂行するに足りる能力を有するものであること」と定められています。

この項目では、事業を遂行するための資金力が問われており、次のような基準を満たす必要があります。

●資産の総額−負債=資産が2,000万円以上

●複数の事業所がある場合は「2,000万円×事業所数」

●資産額が負債の7分の1以上

●現預金が1,500万円以上

以上のような資金や現預金に関する要件があります。

7つの許可基準のうち、この項目が最も難しいとされている要件です。

事務所の広さや所在地に関する要件

事務所の広さにも要件があり、労働者派遣事業に使用し得る面積がおおむね20㎡以上であることと定められています。

20㎡というと、大体12畳ほどの広さです。

さらに「事務所としての独立性が確保されていること」「個人情報が適切に管理できること」などが判断基準です。

そのため自宅を事務所にしたり、事務所に関連会社が混在しているスペースなどは、要件を満たせない場合があります。

派遣元責任者に関する要件

派遣事業を開始するには、派遣元責任者を選任して配置する必要があります。派遣元責任者は「派遣元責任者講習」を受けて、選任されなければなりません。

選任されるには、主に以下のような要件があります。

●派遣元責任者講習を受講した者

●一定の雇用管理等の経験がある者

●未成年でなく生活の根拠が不安定でない者

さらに詳しい要件はこちらをご覧ください。

派遣元事業者に関する要件

許可基準には「労働者に係る雇用管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして厚生労働省令で定める基準に適合するものであること」と示されています。

主に以下のような項目が判断基準となります。

●労働局から指導され、それを是正していない者ではないこと

●労働保険・社会保険への加入が適正に行われていること

●適正な制度や規定を定め、体制を整えていること

派遣元事業者として上記のような条件を満たす必要があります。

教育訓練やキャリアアップ支援関する要件

教育訓練及び、キャリアアップ支援の制度を設けていることも要件となります。主に以下のような項目が判断基準です。

●キャリア形成支援制度を有していること

●キャリアアップ措置や教育訓練を設置すること

●適切な規定を定めていること

●安全衛生教育の実施体制を整備していること

個人情報の管理に関する要件

人材派遣業は膨大な個人情報を取り扱う職種です。許可基準には「個人情報を適正に管理し、及び派遣労働者等の秘密を守るために必要な措置が講じられていること」と示されています。

そのため以下のような対応が求められます。

●個人情報を取り扱う責任者を定める

●不正アクセスを防止する措置をとる

●不要になった個人情報は適切に破棄・削除する

専ら(もっぱら)派遣に関する要件

許可基準には「専ら労働者派遣の役務を特定のものに提供することを目的として行われるものではないこと」と示されています。

専ら派遣は、特定の1社やグループ会社内で派遣を行うことをいいます。労働派遣法で、専ら派遣は禁止されています。法律に反する行為となるため注意が必要です。

許可要件を満たすために必要な書類一覧

7つある許可要件を満たすための証拠書類として、提出しなければならない書類があります。

以下の表に、要件ごとに個人と法人に分けてまとめました。

大まかに各要件に応じて、上記の書類が必要になります。場合によっては、他にも証明書類の提出を求められることがあります。書類の作成や用意に時間を要しますので、早めにとりかかることをおすすめします。

人材派遣業の許可が受けられない欠格事由

人材派遣業の申請には、そもそも許可が受けられないケースもあります。これを労働者派遣事業の欠格事由といい、1〜13まで項目が定められています。欠格事由に該当する場合は、人材派遣業で開業ができません。

主な欠格事由の内容は以下の通りです。

【主な欠格事由の内容】

●禁錮以上の刑に処せられ、又は労働者派遣法違反等により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者

●破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者

●暴力団員等がその事業活動を支配する者 など

上記のような項目が細かく13項目ありますが、過去に法律違反や届け出の取り消しなどの履歴がなければ問題ないといえます。

詳しい内容はこちらのページから確認できます。

資産の要件を満たすには借入や増資を検討

前述の通り、人材派遣業の許可申請の要件で最もハードルの高い項目が「資産や現預金に関する要件」です。この要件を満たせない場合は、次のような借入や増資を検討する必要があります。

個人や会社の状況によって有効な方法は異なるため、必要であれば専門家からのサポートも検討してみましょう。

金融機関から借り入れ

金融機関もしくは役員から借入することで、「現預金1,500万円」の要件を満たせる場合があります。ただし、借入は負債でもあるため「資産額が負債の7分の1以上」の要件を満たせなくなる場合もあるので注意です。

増資をする

増資をすることで、資本金を増やして要件を満たすことも可能です。増資登記に関する書類を作成し、増資登記申請を行う必要があります。

生命保険を解約する

積立型保険に加入している場合に限りますが、保険を解約して解約返戻金が戻ってくることで、すぐに資産を増やすことができます。資産や現預金の要件を満たせる場合があります。

人材派遣業の許可申請は計画的に進めましょう

人材派遣業の許可申請には多くの要件が定められており、特に資産や現預金に関する要件は、多くの方が頭を抱える部分でもあります。

人材派遣許可申請をして、許可書が届くまではおおむね2〜3ヶ月程度です。提出書類も膨大なため、時間に余裕を持って取り組む必要があります。

人材派遣事業を始めるまでの流れを把握し、逆算して計画的に進めましょう。

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