2026年2月26日

派遣会社が押さえておくべき 2026年 派遣・就業関連 法改正まとめ



2026年は、派遣会社にとってきわめて対応量の多い「法改正ラッシュ」の年です。


社会保険の適用拡大(いわゆる「106万円の壁」の撤廃)、カスタマーハラスメント対策の義務化、障害者法定雇用率の引上げ、高年齢労働者への安全衛生対応など、多岐にわたる改正が同時進行で施行・見込まれています。

これらは派遣元(派遣会社)だけでなく、派遣スタッフ本人や派遣先クライアントにも直接的な影響を及ぼします。雇用契約書の巻き直し、就業規則の改定、社会保険手続き、派遣料金の再交渉——対応しなければならない実務は山積みです。

本コラムでは、2026年に派遣会社が知っておくべき主要な法改正を「施行確定済み」「施行見込み」「検討中」のステータス別に整理し、それぞれの実務対応ポイントをわかりやすく解説します。


今すぐ優先すべき項目を把握し、計画的に備えていきましょう。

 

2026年の法改正を読み解く前に「改正のステータス」を確認しましょう



法改正情報を読むうえで最初に確認すべきは、その改正が「いつ・確実に施行されるのか」という点です。一口に「2026年の法改正」といっても、その状態(ステータス)はさまざまです。

 

ステータス

意味

対応の優先度

【確定】

施行日まで決まっており、対応必須

最優先:今すぐ対応開始

【見込み】

法律は成立しているが、施行日が政令等で決定予定

早期準備が必要:施行前に体制整備

【検討中】

法案内容・施行日ともに未確定

情報収集・影響試算を開始

 

ステータスを把握したうえで、以下の各改正ポイントを確認しましょう。

 

2026年 主要法改正スケジュール一覧(派遣会社向け)


下表は、2026年〜2027年以降にかけて施行される主な法改正をまとめたものです。派遣会社の実務に影響するポイントを中心に整理しています。

 

施行時期

改正内容

対象

派遣会社への主な影響・対応

2026年4月【確定】

子ども・子育て支援金(新制度)開始

全事業者

給与計算システムの改修。医療保険料に上乗せ徴収が始まるため従業員への周知と給与明細対応が必要

2026年4月【確定】

在職老齢年金制度の見直し(支給停止基準額を62万円に引上げ)

高齢者雇用

高齢派遣スタッフへの説明対応・雇用継続の検討

2026年4月【確定】

高年齢労働者の労働災害防止措置の努力義務化

60歳以上を雇用する全事業者

派遣先への安全衛生対策の確認・指導強化

2026年4月〜【確定】

女性活躍推進法改正:男女賃金差・女性管理職比率の公表義務拡大(101人以上)

101人以上の事業者

社内データの整備・情報公表対応

2026年4月〜【確定】

カスタマーハラスメント対策・就活セクハラ防止措置の義務化

全事業者

就業規則改定、派遣スタッフ向けカスハラ相談窓口の整備

2026年7月【確定】

障害者の法定雇用率引上げ(2.5%→2.7%)

常時雇用37.5人以上の企業

自社雇用率の再確認・採用計画の見直し

2026年10月【見込み】

社会保険の賃金要件撤廃(「106万円の壁」解消)

短時間労働者を雇用する全事業者

新たに加入対象となる派遣スタッフへの手続き・雇用契約書の巻き直し・派遣料金への労務費転嫁交渉

2027年以降【確定・段階的】

社会保険の企業規模要件の段階的撤廃(最終:2035年に全企業対象)

全企業(規模に応じて段階的)

対象拡大スケジュールの把握と計画的対応

2027年〜【検討中】

労働基準法の大幅改正(勤務間インターバル義務化・連続勤務上限規制等)

全事業者

勤怠管理システムの整備・シフト設計の見直し

 ※上記は2026年2月時点の情報に基づいています。「見込み」「検討中」の項目については、今後の国会審議等により変更される場合があります。最新情報は厚生労働省のウェブサイトでご確認ください。

 

派遣会社が最優先で対応すべき改正ポイント詳解


① 社会保険の適用拡大(賃金要件撤廃・企業規模要件の段階的撤廃)


今回の法改正の中で、派遣会社に最も大きな影響を与えるのが社会保険の加入要件の見直しです。

 

【何が変わるのか】

これまで、短時間労働者(パート・アルバイト・派遣スタッフ)が社会保険(健康保険・厚生年金)に加入するには、主に以下の要件をすべて満たす必要がありました。


● 週の所定労働時間が20時間以上
● 月額賃金が8.8万円以上(年収換算で約106万円) ←【今回撤廃】
● 雇用期間が2か月超の見込み
● 学生でない
● 従業員規模要件(現在:51人以上の企業) ←【段階的撤廃】


このうち、②の賃金要件(月額8.8万円)は2026年10月をめどに撤廃される見込みです。


最低賃金の上昇により「週20時間以上働けば自動的に8.8万円を超えるケースが大半」となってきたため、要件としての実効性が薄まったことが背景にあります。


さらに、従業員規模要件も段階的に撤廃され、最終的には2035年に企業規模を問わず全労働者が対象となります。

 

【社会保険適用拡大スケジュール】


施行時期

主な変更内容

対応ポイント

2026年10月(見込み)

賃金要件(月8.8万円以上)を撤廃

=「106万円の壁」が消滅

新規対象者の洗い出し

雇用契約書の巻き直し

給与計算・保険料の試算

2027年10月〜(確定)

企業規模要件の段階的撤廃開始

(36人以上から適用拡大)

小規模派遣先へのコスト増説明

料金改定交渉の準備

2029年10月〜

個人事業所への適用拡大

(5人以上・全業種)

個人事業主クライアントへの周知

2035年10月(最終)

企業規模要件が完全撤廃

週20時間以上の全労働者が対象

全派遣スタッフへの適用完了

 

【派遣会社への実務影響と対応】


この改正は派遣会社にとって特に重大です。派遣スタッフの多くは短時間・短期雇用であるため、「これまで社会保険未加入だったスタッフが一気に加入対象になる」という事態が起こりえます。

  新たに加入対象となるスタッフの洗い出し(週20時間以上・要件見直しに合致する者)

  雇用契約書・就業条件明示書の巻き直し

  社会保険料増加分を含めた労務費の再試算

  派遣先への説明・派遣料金改定の交渉(労務費転嫁の指針に基づく正当な値上げ交渉が可能)

  派遣スタッフへの丁寧な説明(手取り変動・年金メリット等)



なお、2026年1月には日本人材派遣協会が派遣先企業に向けて「派遣料金の価格交渉に向けた協議」を正式に要請する文書を発出しています。


政府の「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」改正もあり、労務コスト増加分を派遣料金に反映するための交渉はより後押しされる環境となっています。

 

② カスタマーハラスメント対策の義務化(2026年中施行見込み)



2025年6月に公布された「労働施策総合推進法等の改正」により、顧客・取引先等からの著しい迷惑行為(カスタマーハラスメント)への対策が、すべての事業者に義務付けられます。施行は公布から1年6か月以内(最遅で2026年12月ごろ)の見込みです。

【派遣会社として求められる対応】


また同時に、求職者に対するセクシャルハラスメント(就活セクハラ)への防止措置も事業主の義務となります。採用活動や面接時のルール整備も必要です。

 

● カスハラに関する方針の策定・社内周知
● 相談窓口の設置(派遣スタッフが派遣先でカスハラ被害を受けた場合の受け皿)
● 就業規則への反映(カスハラ対応に関する規定の追加)
● 派遣先への説明・連携体制の整備(派遣スタッフを守るための仕組みづくり)


③ 障害者の法定雇用率引上げ(2026年7月〜 確定)



2026年7月1日より、民間企業の障害者法定雇用率が現行の2.5%から2.7%に引き上げられます。これに伴い、雇用義務のある企業の対象範囲も常時雇用37.5人以上へと拡大します。

派遣会社自身も雇用義務の対象企業であるため、自社の達成状況を確認し、必要に応じて採用強化や就労支援機関との連携を進める必要があります。

 

④ 高年齢労働者の安全衛生対策強化(2026年4月〜 確定)



60歳以上の高齢就労者が増加する中、高年齢労働者特有の体力・身体機能の特性に配慮した作業環境の整備・安全教育の実施が事業者の努力義務となります(労働安全衛生法改正)。

派遣会社においては、60歳以上のスタッフを派遣する際、派遣先における作業内容・環境のリスクアセスメントの実施を要請・確認することが重要です。万一、労災が発生した場合には使用者責任(安全配慮義務違反)が問われるリスクもあるため、事前の確認体制が求められます。

 

⑤ 女性活躍推進法改正:男女賃金差・管理職比率の情報公表義務拡大(2026年4月〜)



2025年6月公布の改正法により、2026年4月以降、常時雇用101人以上の事業者は「男女間賃金の差異」と「女性管理職比率」の2項目を公表することが義務付けられます(従来は301人以上が義務対象)。

派遣会社においては、社内の賃金データや管理職比率の算出・公表体制を早急に整えることが求められます。また、派遣スタッフを含めた算定基準の確認も必要です。

 

⑥ 子ども・子育て支援金の徴収開始(2026年4月〜 確定)



「こども未来戦略」の一環として、子ども・子育て政策の財源として新設された「子ども・子育て支援金」の徴収が2026年4月(保険料徴収は5月分から)開始されます。公的医療保険の保険料に上乗せする形で事業主・従業員が折半して負担します。

派遣会社にとっては、給与計算システムの改修と、派遣スタッフへの丁寧な事前周知が必要です。「給与から新たに差し引かれる」ことへの不安・問い合わせに備えた説明資料の準備もしておきましょう。

 

⑦【注目】労働基準法の大幅改正(2027年以降・検討中)



「40年に一度の大改正」と呼ばれる労働基準法の抜本的見直しは、2026年の通常国会への法案提出が一旦見送られましたが、改正の方向性は示されており、早ければ2027年の施行が見込まれています。

【主要な改正案(報告書ベース)】



● 連続勤務の上限規制:14日以上の連勤を禁止(最大13日まで)
● 勤務間インターバル制度の義務化:終業から次の始業まで11時間以上の休息を確保
● 法定休日の事前特定義務:就業規則等で「いつが法定休日か」を明記
● 週44時間特例の廃止:10人未満の特例も廃止し、全事業場で週40時間制に統一
● 「つながらない権利」のガイドライン策定(勤務時間外の業務連絡への応答義務を制限)

派遣会社にとっては、シフト設計・勤怠管理システムの抜本的見直しが求められる可能性があります。法案確定前の今から、自社の運用状況を把握しておくことが重要です。

 

4. 派遣先(クライアント)への説明と料金改定交渉のポイント



法改正に伴うコスト増(特に社会保険料の増加)を派遣料金に適切に反映することは、派遣会社の経営維持に直結します。しかし「値上げを切り出すのが難しい」と感じている担当者も多いのではないでしょうか。

重要なのは、「値上げのお願い」ではなく「法改正に基づく労務費の適正な転嫁」として説明することです。以下のポイントを押さえて交渉に臨みましょう。

 

交渉ポイント

説明の例・ポイント

背景の説明

「社会保険の賃金要件撤廃により、2026年10月以降、派遣スタッフの社会保険料が増加します。政府の『労務費転嫁の指針』に基づき、正当なコスト転嫁として料金改定をご協議させてください」

数字で示す

「一人あたり月額○○円の負担増が生じます。派遣料金への反映分としては○○円のご負担をお願いしたい」など、具体的な金額を試算して提示

法的根拠を示す

「内閣官房・公正取引委員会が改正した指針、および日本人材派遣協会が2026年1月に発出した要請文書に基づくものです」と伝える

クライアントのメリットも伝える

「社会保険加入により、スタッフの離職リスクが下がり、長期安定就業が期待できます」

 

5. 派遣スタッフからの相談に備えておくべきこと



法改正は派遣スタッフにとっても大きな関心事です。特に「社会保険が増える=手取りが減る」という不安の声が多く寄せられることが予想されます。相談対応の準備をしておきましょう。

よくある問い合わせ予測と回答のポイント



  1. 「社会保険に入ると手取りが減るのでは?」


→ 短期的には社会保険料の控除が増えるため手取りは減ります。一方で、厚生年金への加入により将来の年金額が増加するほか、傷病手当金・出産手当金など健康保険の給付も受けられるようになることをセットで伝えましょう。


  1.   「130万円の扶養内で働きたいのだが影響があるか?」


→ 106万円の賃金要件が撤廃された場合、週20時間以上働くと収入額にかかわらず社会保険加入対象となるため、「130万円の壁」を考慮した就業調整では対応できなくなる場合があります。個別の状況を聞きながら丁寧に案内しましょう。


  1.   「派遣先でハラスメントを受けたときの相談先は?」


→ カスハラ対策義務化を機に、派遣元(自社)に相談窓口があることを明確に周知しましょう。「何かあれば連絡してほしい」という姿勢を示すことが、スタッフの安心感と継続就業につながります。

 

6. 今すぐ着手すべき優先対応チェックリスト



多数の法改正が同時進行する中、まずは「確定施行」の対応から優先的に取り組みましょう。

 

優先度

対応事項

期限目安

★★★

子ども・子育て支援金の給与計算システム対応・従業員周知

2026年3月末まで

★★★

高年齢労働者(60歳以上)への安全衛生配慮体制の確認

2026年3月末まで

★★★

障害者雇用率2.7%の達成状況確認・採用計画見直し

2026年6月末まで

★★★

カスハラ対策規定・相談窓口の整備・就業規則改定

2026年内

★★★

社会保険の賃金要件撤廃に備えた対象者洗い出し・影響試算

2026年上半期

★★★

社会保険料増加分の派遣料金への転嫁交渉(派遣先との協議開始)

2026年上半期〜

★★★

新規加入者向け雇用契約書・就業条件明示書のフォーマット改訂

2026年9月末まで

★★

女性活躍推進法:男女賃金差・女性管理職比率のデータ整備・公表準備

2026年度内

★★

労働基準法改正(2027年以降)に向けた勤怠管理システムの現状確認

2026年内に着手

社会保険の企業規模要件撤廃(2027年〜)への段階的対応計画策定

2026年内に策定

 

7. まとめ:システムで法改正対応をラクにする



2026年は、派遣会社にとって「法改正の対応コスト」と「人的リソースの限界」が同時に押し寄せる年です。雇用契約書の巻き直し、社会保険手続きの増大、勤怠管理の見直し——これらをすべて手作業で対応しようとすれば、担当者の負担は増す一方です。

こうした状況だからこそ、クラウド型の派遣管理システムを活用して業務を効率化することが有効です。たとえば、以下のような機能があれば、法改正対応の実務負担を大幅に軽減できます。


● 社会保険加入対象者の確認に必要な労働時間・契約情報を一元管理できる
● 雇用契約書・就業条件明示書のテンプレートを管理し、改訂作業を効率化できる
● 勤怠データを正確に蓄積し、労働時間の把握・確認を行いやすくする
● 契約条件・派遣料金情報を一元管理し、クライアントとの協議資料作成を支援する

法改正を「コストとリスク」としてだけでなく、「業務デジタル化のチャンス」として捉え、システム整備と合わせて計画的な対応を進めていきましょう。


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【免責事項・注意書き】

本コラムの内容は2026年2月時点の情報に基づいています。「見込み」「検討中」と記載した項目については、今後の国会審議・政令等により施行時期・内容が変更になる場合があります。実際の実務対応については、社会保険労務士等の専門家にご相談のうえ、厚生労働省等の公式発表で最新情報をご確認ください。