2023年1月20日
準備はできていますか?2023年4月から中小企業も割増賃金率が50%に
働き方改革は、個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を自分で選択できるようにするための改革です。その一環として、2023年4月の法改正により割増賃金率が50%に引き上げられます。まだ何も準備していない、内容を把握していない、という方もいるのではないでしょうか。
本コラムでは、今回の法改正による割増賃金率の適応条件や注意点、企業側に求められる対応などをご紹介します。
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働き方改革のおさらい
働き方改革は、昨今の「少子高齢化」「働き方の多様化」に対応するために実施されている改革です。これを整備する法律のことを、働き方改革関連法といいます。この法律の改正により、労働基準法が2019年より段階的に施行されてきました。
そして2023年4月から労働基準法第138条が廃止され、月60時間を超える労働に対して、割増賃金率の50%以上が適応となります。この割増賃金率は、2010年4月から大企業に対してのみ施行されていた法律でしたが、今回中小企業も対象になることとなりました。長時間労働の抑制を主な目的としています。
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2023年4月から時間外割増賃金率が50%に適応
これまで中小企業の割増賃金率は25%にとどまっていましたが、下記のように50%に引き上げられます。
【現行】
大企業の割増賃金率・・・50%
中小企業の割増賃金率・・・25%
【2023年4月より】
大企業の割増賃金率・・・50%
中小企業の割増賃金率・・・ 50%
対象となる中小企業の定義や、具体的な内容について以下でご紹介します。
中小企業の定義とは
中小企業に該当するかどうかは下の表のとおり、①資本金の額または出資の総額・②常時使用する労働者数で判断されます。
業種 |
①資本金の額または出資の総額 |
②常時使用する労働者数 |
小売業 |
5,000万円以下 |
50人以下 |
サービス業 |
5,000万円以下 |
100人以下 |
卸売業 |
1億円以下 |
100人以下 |
上記以外のその他の業種 |
3億円以下 | 300人以下 |
深夜・休日労働の取扱い
深夜労働や休日労働と、60時間以上の時間外労働が重なった場合の割増賃金率は、下の表のように上乗せされるかたちになります。
【割増賃金率】
深夜前 |
深夜 (22:00〜5:00まで) | |
---|---|---|
60時間以内の時間外労働 |
25% |
50%(25%+25%) |
60時間を超える時間外労働 |
50% |
75%(50%+25%) |
休日労働(法定休日) |
35% |
60%(35%+25%) |
●深夜労働
深夜労働の割増賃金率は、25%です。月60時間を超える時間外労働を深夜に行った場合は、「深夜割増賃金率25%+時間外割増賃金率50%=75%」と上乗せされます。
●休日労働
休日労働の割増賃金率は、35%です。深夜の時間帯に労働した場合は、「休日労働割増賃金率35%+深夜割増賃金率25%=60%」となります。
ただし、月60時間の時間外労働時間の計算には、法定休日に働いた時間は含まれません。法定休日とは、各会社が定めた最低限必ず取らなければならない休日のことです。それ以外の休日に働いた時間は含まれて算定されます。
(例)基本土日がお休みの会社のケース
土曜日・・・法定外休日(時間外労働割増賃金率が適用される)
日曜日・・・法定休日(時間外労働割増率は適用されない)
※法定休日は、各会社が決める休日です(各会社によって異なる)
深夜・休日労働が合わさると、時間外労働の算定や給与計算が複雑になるため注意が必要です。
代替休暇の付与
月60時間を超える労働を行った者に対し、引き上げ分の割増賃金の支払の代わりに、有給休暇の付与ができます。代替休暇制度を取り入れることで、労働者の健康を確保する目的があります。
代替休暇制度を取り入れるには、労使協定を結ぶなどの手続きが必要です。
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法改正による企業に求められる対応
法改正にともなって、中小企業は就業規則や勤怠管理を整えることが必須です。
次のような準備を進めていきましょう。
就業規則の変更
割増賃金率が引き上げられたことで、就業規則の変更が必要になる場合があります。現状、60時間超えの時間外労働に対し割増賃金率が25%になっている場合は、これを50%に書き換えましょう。
厚生労働省では就業規則の記載例を公開しているので、必要な方はご参考ください。
勤怠管理システムの整備や導入
割増賃金率について説明したように、適用の条件や算定方法は複雑です。1ヶ月の起算日からの残業時間を累計して60時間を超えた時点から、50%以上の率で計算した割増賃金を支払わなければなりません。
中小企業や小規模事業者で、これまでエクセルやタイムカードなどで勤怠管理をしてきた方は、この機会に勤怠管理システムの整備や導入をおすすめします。
社員に適切な給与や残業代を支払うためにも、正確でミスのない勤怠管理が重要です。
残業時間削減のための業務効率化
時間外労働の割増賃金率の引き上げは、残業時間の抑制が背景にあります。
テレワーク・ペーパーレス・はんこレスなどを含めた業務効率化が叫ばれている今、業務の工程や内容を今一度見直して効率化を図るべき時です。
より効率的に業務が遂行できるように、紙の管理や働き方など、改めて考えてみましょう。
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勤怠管理システムの導入に活用できる国からの助成金
国は働き方改革に取り組む中小企業向けに、助成金の制度を設けています。例えば、環境整備のための勤怠管理システムや、テレワークを推進するためのクラウド型ソフトウェアの導入コストを、国が一部を助成してくれます。
国以外にも県や市で独自の助成金制度を設けている場合もあります。うまく活用することで、コストを抑えて環境整備と業務効率化が可能です。
働き方改革推進支援助成金(申請期間:2023年1月13日まで)
働き方改革推進支援助成金は、環境整備に取り組む中小企業事業を支援する制度です。助成率は75%で、一定の要件を満たした場合は80%まで引き上がります。上限額は最大250万円です。
残念ながら現時点ですでに申請期間を過ぎていますが、新たに助成金制度が新設されることもあります。県や市で行っている助成金制度なども、チェックしてみるとよいでしょう。
業務改善助成金(申請期間:2023年3月31日まで)
業務改善助成金は、生産性向上を支援し、事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)の引上げを図るための制度です。生産性向上のために導入する機器や設備の導入などの経費を助成します。
賃金引上計画の策定と最低賃金の引上げなどが条件です。助成上限額はその引上げ額によって異なりますが、最高で600万となります。
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法改正に対応した勤怠管理・業務効率化なら「メッキー派遣管理」
法改正はたびたび実施されるため、その都度企業側は柔軟に対応しなければなりません。今回の法改正、さらに今後のためにも整備を整えた方がよいでしょう。
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