2026年7月29日

派遣会社の個人情報漏えい対策とは?クラウドで実現する人材派遣セキュリティの新常識



派遣会社は、スタッフとクライアント双方の個人情報を大量に取り扱う「情報の集積地」です。


マイナンバーや口座情報、就業履歴からクライアントの機密情報まで、漏えいすれば経営を揺るがしかねないデータを日々扱っています。


個人情報保護委員会の年次報告によると、2025年度に民間事業者から報告された個人データの漏えい等事案は17,139件にのぼりました※1。


これは上場企業に限らず、中小企業を含むすべての事業者からの報告を集計した数値であり、情報漏えいが決して大企業だけの問題ではないことを示しています。


専任のセキュリティ担当者を置きにくい中小規模の派遣会社ほど、退職者による情報の持ち出しやシステムへの不正アクセスといったリスクに対して、仕組みで防ぐ対策が求められています。


本コラムでは、中小規模の派遣会社が個人情報漏えい対策を進めるうえで押さえておくべきリスクの実態と、ローカル管理からクラウド管理へ移行する意味、そしてISMS・プライバシーマークをはじめとするセキュリティ認証の活用法まで、限られたリソースでも取り組める視点で整理します。

 

 

人材派遣業が抱える個人情報の量と種類——なぜ狙われやすいか

 

派遣会社が管理する個人情報は、一般的な企業と比べて「量」「種類」「更新頻度」のすべてが多いという特徴があります。

 

  • ▼スタッフ情報

氏名・住所・生年月日・マイナンバー・銀行口座・保険情報・職歴・スキルシート・健康診断結果

 

  • クライアント情報

契約企業の担当者名・連絡先・取引条件・就業条件明示書などの機密情報

 

  • 契約関連書類

雇用契約書、労働者派遣個別契約書、給与明細など機密性の高い書類

 

さらに、派遣スタッフは入退社や契約更新の頻度が高く、常に新規登録・情報更新が発生し続けるため、情報が「動き続ける」状態にあります。

 

担当者ごとにExcelやローカルフォルダで管理していると、どの端末に最新データがあるのか把握しづらくなり、管理の抜け漏れが発生しやすくなります。

 

加えて、派遣先企業の内部情報(取引先の業務フローや組織体制など)まで把握するケースも多く、攻撃者から見れば「一度侵入すれば複数企業分の情報を得られる」魅力的な標的になりやすい業態だといえます。

 

個人情報を大量に取り扱う業態であるため、報告が必要となる事案が発生しないよう、適切な管理体制を整えることが重要です。

 

実際に起きた情報漏えい事故の傾向——内部・外部リスクの実態

 

情報漏えいの原因は大きく「内部要因」と「外部要因」に分けられます。近年の傾向として、東京商工リサーチの調査では事故原因の6割超を「ウイルス感染・不正アクセス」が占め、次いで「誤表示・誤送信」、「紛失・誤廃棄」が続くことが報告されています。

 

人材業界に関連する事例としても、次のような傾向が見られます。

 

内部要因(人的リスク)

 

  • 退職予定者が、在職中に付与されていたアクセス権限を使って顧客情報や個人情報を不正に持ち出す「情報の手土産転職」

 

  • 業務用パソコンから私物の外部ストレージやUSBメモリへ、許可なくデータをコピーする

 

  • 退職後もアカウントが削除されず、社内システムへのアクセスが可能な状態が放置される




外部要因(技術的リスク)

 

  • フィッシングメールを起点としたランサムウェア攻撃によるサーバー侵入

 

  • Webサイトやシステムへの不正アクセスによる大量の個人情報流出

 

  • 委託先・関連会社経由でのサプライチェーン攻撃

 

特に派遣業界特有のリスクとして注目すべきは、派遣スタッフ自身が「元従業員」として複数の企業のアクセス権限を持つ機会が多いという点です。

 

退職・契約終了のたびにアカウント権限を適切に無効化する運用ができていないと、内部不正のリスクは高止まりしたままになります。

 

個人情報保護法上、漏えい事案が発生した場合は個人情報保護委員会への報告と本人通知が義務付けられており、対応の遅れは行政指導や損害賠償請求、企業信用の低下につながる可能性があります。

 

ローカル管理(PC・Excel)とクラウド管理のセキュリティ比較

 



多くの派遣会社では、長年の運用でExcelやローカルPC・共有フォルダによる管理が定着しています。

 

しかし、セキュリティの観点で見ると、ローカル管理には構造的な弱点が存在します。

 

比較項目

ローカル管理(PC・Excel)

クラウド管理

アクセス権限の管理

ファイル単位・個人依存になりやすく、退職者の権限解除漏れが起きやすい

ID・役職ごとに権限設定でき、退職時は即座にアクセス遮断が可能

通信・保存時の暗号化

個別の設定やソフトウェア導入が必要となる場合が多い

多くのクラウドサービスでは、通信の暗号化や保存データの暗号化に対応しています

操作ログの記録

ほぼ記録されず、持ち出しの検知が困難

サービスによっては、操作履歴を確認できる機能を備えている

端末紛失・盗難時のリスク

端末内にデータが残っているため情報漏えいに直結

データは主にクラウド側で管理されるため、端末紛失時のリスクを抑えやすくなります

バックアップ・BCP対応

担当者任せになりがちで、災害時のデータ消失リスクがある

自動バックアップ・複数拠点保管により事業継続性が高い

監査・第三者認証への対応

証跡が残りにくく、ISMS・Pマーク審査での指摘対象になりやすい

第三者認証の取得などにより、情報管理体制を対外的に示しやすい

 


ローカル管理が担当者ごとの運用に依存しやすい一方、クラウド管理ではアクセス権限の管理やデータの一元管理など、情報管理を効率化する仕組みを備えたサービスが多く提供されています。

 

特に派遣業のように入退社が頻繁で、複数拠点・複数担当者が同じ情報にアクセスする業態では、権限管理やデータの一元管理を効率化できるクラウド管理への移行を検討する企業が増えています。

 

ISMS・プライバシーマーク取得のメリットと取得のステップ

 

自社のセキュリティ体制を客観的に証明する手段として、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム/ISO27001)とプライバシーマーク(Pマーク)の取得が広く活用されています。

 

取得するメリット

 

  • ・ 取引先・クライアントからの信頼獲得
    個人情報を委託する側にとって、第三者認証の有無は取引条件の判断材料になる

 

  • ・ 入札・契約要件のクリア
    官公庁案件や大手企業との取引では、認証取得が条件になっているケースがある

 

  • ・ 社内体制の標準化
    属人化していた個人情報管理のルールを、規程・台帳・チェック体制として明文化できる

 

  • ・ 事故発生時の説明責任
    万が一の際も、管理体制が整備されていたことを対外的に示せる



取得までの主なステップ

 

  1. 1. 現状分析・体制構築の準備
    取り扱う個人情報の棚卸し、リスクアセスメント、管理責任者の選任

 

  1. 2. 個人情報保護マネジメントシステム(PMS)の構築
    規程・様式・台帳を整備し、社内教育や内部監査のルールを定める

 

  1. 3. 一定期間の運用実績を積む
    構築したルールに沿って実際に運用し、記録を残す(審査機関により求められる運用期間は異なる)

 

  1. 4. 審査機関への申請・現地審査
    書類審査・現地審査を経て指摘事項への対応を行う

 

  1. 5. 付与・登録
    Pマークは2年ごと、ISMSは原則3年ごとに更新審査が必要

 


取得までの期間は企業規模や準備状況によって差がありますが、Pマークの場合は一般的に半年〜1年程度を見込む企業が多いとされています。

 

費用面も審査規模によって変動するため、早い段階からコンサルティング会社やクラウドサービス提供会社に相談し、無理のないスケジュールを組むことが重要です。

 

なお、ISMSとPマークは対象範囲や国際通用性に違いがあり、両方を取得する企業も少なくありません。

 

加えて近年は、これらに加えてSSL/TLS通信の常時暗号化や、「クラウドサービスの安全・信頼性に係る情報開示認定制度」など第三者認証を取得したクラウドサービスを選定する企業も増えています。

 

スタッフ・クライアントに「安心」を伝えることが信頼に直結する

 

セキュリティ対策は「事故を防ぐ」だけの取り組みではありません。

 

派遣業のようにスタッフとクライアントの双方から個人情報を預かるビジネスモデルでは、対策の内容を分かりやすく伝えること自体が、選ばれる派遣会社になるための営業力につながります。

 

  • ・ スタッフへの訴求
    登録時に「マイナンバーや個人情報がどのように守られているか」を明示することで、安心して登録・就業してもらえる

 

  • ・ クライアントへの訴求
    個人情報保護体制について問われた際、ISMS・Pマーク取得やクラウド管理の仕組みを具体的に説明できれば、取引先としての信頼度が高まる

 

  • ・ 営業現場での差別化
    同条件の競合他社と比較された際、「セキュリティ体制の証明」は価格や実績と並ぶ選定理由になり得る

 

特に近年は、個人情報保護に対する社会的な関心の高まりから、スタッフ登録時やクライアントとの契約時に「情報管理体制」を確認されるケースが増えています。

 

認証マークの取得やクラウド管理の導入を「コスト」ではなく「信頼を可視化する投資」と捉える視点が、これからの派遣会社経営には欠かせません。

 

まとめ|クラウド管理とISMS・SSL・第三者認証で「守れる派遣会社」へ

 

派遣会社が扱う個人情報は量・種類ともに多く、内部不正・外部攻撃の両面から常に狙われるリスクにさらされています。

 

ローカル管理ではアクセス権限やデータ管理が属人化しやすく、事故が起きても原因究明や説明責任を果たすことが難しくなります。

 

クラウド管理への移行と、ISMS・プライバシーマークをはじめとする第三者認証の取得は、もはや「先進企業だけの取り組み」ではなく、派遣事業を継続するうえでの基本要件になりつつあります。

 

メッキー派遣管理は、ISMS・SSL/TLSによる暗号化通信に加え、「クラウドサービスの安全・信頼性に係る情報開示認定制度」認定を取得し、安全性・信頼性の向上に取り組んでいます。

 

スタッフ・クライアントの個人情報をクラウドで安全に一元管理し、登録・契約・請求業務の効率化と、情報管理体制の整備を支援します。

 

個人情報管理をローカルからクラウドへ移行したい、ISMS・Pマーク取得に向けて社内体制を整えたいとお考えの派遣会社様は、ぜひ一度メッキー派遣管理にご相談ください。



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よくある質問(FAQ)

 

Q1. 派遣会社が個人情報漏えい対策として最初に取り組むべきことは? 

 

まずは自社が保有する個人情報の種類・保管場所・アクセス権限者を棚卸しすることが第一歩です。そのうえで、Excelやローカル管理からクラウド管理へ移行し、権限管理とデータの一元管理を仕組み化することが、内部不正・外部攻撃の両方に効果的な対策になります。

 

Q2. ISMSとプライバシーマークはどちらを取得すべきですか? 

 

対象範囲や国際的な通用性に違いがあるため、取引先の要求内容や事業展開の方向性に応じて選ぶ、あるいは両方の取得を検討する企業も増えています。詳しくは自社の状況を踏まえて審査機関やコンサルティング会社に相談することをおすすめします。

 

Q3. クラウド管理システムに乗り換えるタイミングの目安は? 

スタッフ・クライアント情報の管理が複数の担当者・端末にまたがっている、退職者のアクセス権限解除が徹底できていない、といった状態が見られる場合は、事故が起きる前に移行を検討すべきタイミングといえます。


※1 出典:個人情報保護委員会「令和7年度年次報告」(令和8年7月7日公表)
https://www.ppc.go.jp/news/press/2026/260707/?ref=tninf