2023年3月6日
インボイス制度による人材派遣会社への影響とは?準備すべき3つの対応を解説
2023年に導入されるインボイス制度。ビジネスにおいて多くの影響が及ぶ大改正といわれていますが、
人材派遣業はどうでしょうか?
この記事では「インボイス制度とは何か」をわかりやすく解説。
さらにインボイス制度によって受ける影響・するべき対応について、人材派遣会社にフォーカスしてご紹介していきます。
目次
- インボイス制度とは「適格請求書保存方式」
- インボイス制度による人材派遣会社への影響は?
- インボイス制度による人材派遣会社の社員への影響は?
- インボイス制度に向けて人材派遣会社がするべき3つの対応
- 各事業形態におけるインボイス制度の影響とは?
- インボイス制度が関係ない業種・ケースとは
- 人材派遣会社向け業務管理システム「メッキー派遣管理」
インボイス制度とは「適格請求書保存方式」
インボイス制度は2023年(令和5年)10月に導入される、課税事業者を対象にした制度です。
正式名称を「適格請求書等保存方式」といい、課税事業者は要件を満たす「インボイス(適格請求書)」を交付・保存することが義務付けられます。
発注側と受注側の取引において、受注側が「インボイス」を交付・保存することで、発注側は仕入額の控除を受けることができます。
逆に適格請求書以外の請求書では控除を受けられなくなります。課税事業者は「適格請求書発行事業者」に登録して、インボイスを交付できるようにしておく必要があります。
インボイス制度を導入する理由
インボイス制度を導入する理由は、取引における請求書上の正確な適用税率や消費税額などを、買い手(発注者)に対して正確に伝えるためです。
軽減税率が導入されている現在、消費税は原則10%であるものの、一部の品目に対しては8%の消費税が適応されています。
適格請求書では、これらをより正確に「適用税率」「消費税率」などを記載した請求書「インボイス(適格請求書)」を発行し、保存することで正確性の向上・電子インボイスなどでDX化を図る狙いがあります。
適格請求書の必須記載事項6つ
適格請求書には、6つの必須記載項目があります。
次の項目が記載されていないと、控除の対象となる「インボイス」とはならないため、制度導入前に請求書のフォーマットなどを見直すとよいでしょう。
①適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
②取引年月日
③取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
④税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜又は税込)及び適用税率
⑤消費税額(端数処理は一請求書当たり、税率ごとに1回ずつ)
⑥書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称
インボイス制度の経過措置は2029年まで
インボイスの導入は2023年10月からですが、経過措置が設けられています。
まだ適格請求書発行事業者に登録していない事業者や、制度の対象外である免税事業者やフリーランスが発行した請求書でも、経過措置期間は一部控除されます。
【インボイス制度の経過措置期間】
- 令和5年10月1日〜令和8年9月30日までは80%控除
- 令和8/年10月1日〜令和11年9月30日までは50%控除
令和11年9月30日以降からは、適格請求書以外では完全に仕入額控除は受けられなくなります。
インボイス制度による人材派遣会社への影響は?
インボイス制度による、派遣スタッフへの直接の影響はほぼありません。ただし雇用側である人材派遣会社は、いくつか影響がでてくるといえます。
特に人材派遣業を立ち上げたばかりの免税事業者は、そもそも「適格請求書発行事業者」に登録できません。
導入される前に起こりうる事態を考えてみましょう。
適格請求書発行事業者になるように要請される
適格請求書でないと控除が受けられないわけですから、発注者側は取引の際に「適格請求書発行事業者」であるか確認をするようになります。
新しく取引をする際はもちろん、これまで取引をしてきた相手にも登録状況確認し、適格請求書発行事業者でなければ登録を求められる、もしくは取引を見送られる可能性も考えられます。
インボイスの発行を求められる
発注者側は、仕入税額控除を受けるために受注側にインボイスの交付を求めてくるでしょう。
そういった場合に、すぐに対処できるようにシステム整備をするなどして、体制を整えておく必要があります。
交付した適格請求書は、発注者側・受注者の両者が写しを適切に保存しておかなければなりません。
免税事業者または未登録事業者は取引を断られる
インボイス制度導入で、最も不利益をこうむると言われているのが、免税事業者やフリーランスです。
インボイス制度は課税事業者が対象であり、免税事業者やフリーランスは課税事業者にならない限り「適格請求書発行事業者」に登録ができません。
つまりインボイスが交付できないということです。
取引先が課税事業者の場合、免税事業・フリーランスとの取引は控除が受けられず損することになります。
これによって免税事業者及び未登録事業者は、課税事業者との取引をキャンセルされたり、仕事の受注難に陥る可能性が考えられます。
免税事業者または未登録事業者は消費税分の値下げを求められる
さらに免税事業者及び未登録事業者は、取引ができたとしても消費税分の値下げを求められたり、強引な値引き交渉をさせられたりする可能性が考えられます。
ただし、発注者側が一方的に値下げを求めるなどの強制は法に触れる可能性があります。
課税事業者(発注側)は、免税事業者やフリーランス(受注側)の立場も配慮しながら、双方が歩み寄って交渉する必要があるといえるでしょう。
インボイス制度による人材派遣会社の社員への影響は?
インボイス制度の導入は、基本的に人材派遣会社の社員には基本的に影響がありません。
インボイス制度の導入によって影響があるのは、基本的に免税事業者や個人事業主です。
そのため、被雇用者である人材派遣会社の社員は特に気にする必要はありません。
ただし、人材派遣会社の社員として働きつつ個人事業主としても収入を得ている場合は、適格請求書を求められる場合があるため注意が必要です。
インボイス制度に向けて人材派遣会社がするべき3つの対応
インボイス制度によって人材派遣会社は、主に次のような対応が求められます。
- 適格請求書発行事業者への登録申請
- 免税事業者は課税事業者へ申請
- インボイスに対応した請求書作成システム導入を検討
インボイス制度の導入によって人材派遣がしなければいけない対応についてそれぞれ詳しく解説するので、参考にしてください。
適格請求書発行事業者への登録申請
課税事業者の人材派遣会社は、まず適格請求書発行事業者に登録申請をしましょう。
管轄の税務署長に「登録申請書」を提出することで申請できます。書面で申請することもできますが、e-Taxでの申請が推奨されています。
書面よりも早く登録通知を受けることができ、電子データで通知を受けられるため書類の紛失等のリスクがありません。
2023年10月の制度開始時までに発行事業者になるには、原則2023年3月31日までに登録申請をする必要がありますのでご注意ください。
免税事業者は課税事業者へ申請
インボイス制度によって大きな影響を受ける免税事業者は、事業の実態に合わせて課税事業者になるのも1つの選択肢です。
免税事業者が課税事業者になるには「消費税課税事業者選択届出書」を提出することで、課税事業者になれます。
ただし、これまで免税されていた税金を納めることになるため、税負担が増えてしまうことは明白です。
現在の事業の実態を踏まえ、課税事業者になるメリット・デメリットを加味して慎重に検討しましょう。
インボイスに対応した請求書作成システム導入を検討
インボイス制度では、要件を満たした新しいフォーマットの請求書作成が必須です。さらに請求書発行後は、適切に保存しなければなりません。
これまで紙で管理・エクセル管理をしてきた事業者は、さらに事務的な業務が煩雑化するでしょう。
インボイス制度に向けて、システムの整備・システムの導入を検討するべきです。
システムの導入にはコストが付きものですが、国はこれを後押しするためインボイス制度に対応した補助金を用意しています。
インボイス制度に係る、会計システムや受発注システムなども補助の対象なので、大いに活用したいところです。
各事業形態におけるインボイス制度の影響とは?
インボイス制度が以下の各事業形態に与える影響について解説します。
- アルバイト・日雇い労働者への影響
- 業務委託業者・個人事業主への影響
インボイス制度の影響は事業形態によって異なるため、該当する方は確認して参考にしてください。
インボイス制度によるアルバイト・日雇い労働者への影響
アルバイト、日雇い労働者は基本的にインボイス制度の影響を受けません。
インボイス制度は、個人事業主をはじめとした課税事業者が納税する消費税額に仕入税額控除を適用させるための制度です。
そのため、給与の受け取りに請求書発行が必要なく、消費税があらかじめ引かれて渡されるアルバイトや日雇い労働者は、インボイス制度の影響は基本的に受けないと考えて良いでしょう。
インボイス制度による業務委託業者・個人事業主への影響
業務委託業者や個人事業主の場合は、業務委託先から適格請求書の発行を求められる場合があります。
また、アルバイトとして働いていても、アルバイト先から別の業務を業務委託として受託している場合もインボイス制度が適用され、適格請求書の発行が求められるケースがあります。
免税事業者であれば消費税の納税の義務はありません。
しかし、業務委託業者や個人事業主で課税事業者として活動している場合、インボイス制度が適用されるケースがあるため注意が必要です。
インボイス制度が関係ない業種・ケースとは
次に、インボイス制度が関係ない業種・ケースを紹介します。具体的にインボイス制度とは関係のない業種・ケースは以下の通りです。
- 個人消費者向けの事業
- 非課税取引しかない事業
それぞれの業種・ケースについて詳しく解説します。
個人消費者向けの事業
完全に個人消費者向けの事業を展開している場合、インボイス制度は関係ありません。
インボイス制度は、消費税の納税額を控除する仕入税額控除に関する制度です。
そのため、事業の必要経費が生まれず領収書の発行を求められない一般消費者相手の取引では、インボイス制度は適用されません。
完全に個人消費者向けになり得ると考えられる事業は以下のようなものがあります。
- 病院
- 学習塾
- マッサージ店
ただし、飲食店や物販業では接待や贈呈目的で領収書の発行を求められるケースもあるため、完全に個人消費者だけを相手にする事業は多くはありません。
非課税取引しかない事業
完全に非課税取引しかない事業も、インボイス制度は関係ありません。
そのため、仮に事業の経費にするために領収書の発行を求められたとしても、その取引が非課税取引であればインボイス制度は適用されません。
非課税取引には以下のような事業があります。
- アパートの大家
- 駐車場の貸主
完全に非課税取引しかしていない事業ではもともと消費税の仕入税額控除ができません。
インボイス制度が導入されても仕入税額控除ができるようにはならないため、インボイス制度とは関係ありません。
人材派遣会社向け業務管理システム「メッキー派遣管理」
インボイスに向けてシステムの整備は必須ですが、ひとことにシステムといってもさまざまあります。
特に人材派遣会社は、業務が特殊であるため業務が煩雑化しやすいといえます。
そこでおすすめなのが、人材派遣業務に特化した管理システム「メッキー派遣管理」です。
煩雑な請求業務を効率化
「メッキー派遣管理」は、派遣業務を知り尽くしたエンジニアにより設計されており、業務フローに沿った豊富な機能があるのが特徴です。
一部の業務だけでなく、スタッフ管理、クライアント管理、受注管理、請求管理、給与管理の煩雑な派遣業務を網羅し、データを統一、集約できます。
2023年10月にはインボイスにも対応
さらにメッキー派遣管理は、インボイスにも対応します。(2023年2月現在システム改修中)
今回のような大きな改正や派遣法の改正ごとに、書類や機能のアップデートがされるため柔軟な対応ができる嬉しいシステムです。
この機会にメッキー派遣管理を検討してみてはいかがでしょうか。
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